本シリーズは、遊戯王において「勝利」を目指す上で重要な構成要素について解説していきます。
はじめに
現行の遊戯王において、「勝利」へ直結しやすい要素には、自分先行での初動の安定性や盤面の有効度、後攻での突破力や妨害力、事故率などがあります。
本シリーズを通して、読者の皆様がより勝率を高めるための知識や技術を身につけ、より競技性の高い遊戯王をプレイしていただけることを願っております。
自分先行での、自分の想定初動の安定性
相手からの妨害が無いという前提で、先行初動の展開が安定して成功する時もまた、そのデッキは強いと言えます。
安定して初動を成功させるためには、1枚初動、2枚初動(、3枚初動)等、理想的な組み合わせの数が多いほど良いです。
例えば、1枚初動となりうる「クシャトリラ・ユニコーン」を手札に引き込むために、「惑星探査車」「六世壊=パライゾス」「テラ・フォーミング」「盆回し」の4種類も1枚初動としてみれるということです。
制限となっているカードが多いものの、これらを最大枚数デッキに投入し、40枚デッキから初手の5枚の中にある確率は約64%となります。
(420,672 / 658,008通り)
自分先行での、想定盤面の有効度(想定盤面の強さ)
「先行盤面の強さ」もまた、勝利につながる重要な要素の1つとなっています。
理由として、自分が先行の場合では、相手よりも早く展開でき、相手の後攻のリソース(手札6枚)では解決できない盤面を目指すことが出来るからです。
例えば、画像の盤面で言えば、初動に必要なカードに「クシャトリラ・ユニコーン」+「クシャトリラ魔法」の2枚が必要ですが、以下のような状況を作り出せます。
- 墓地へ送られず除外:アライズハート
- 除外に反応して、X素材化:アライズハート
- フリチェで裏除外:アライズハート
- X素材のクシャ手札帰還:アライズ、ビッグバン、クシャトリラモンスター
- 裏除外に反応してデッキ裏除外:ディアブロシス
- ディアブロシス効果に反応してそれぞれ効果:アライズハート、シャングリラ
- 裏除外に反応して1面封鎖:シャングリラ
- 相手モンスターゾーン3面封鎖:シャングリラ
- シャングリラ効果後、1破壊:パライゾス
簡単に解説すると、1回のモンスターの召喚や魔法の発動でモンスターを処理しなければ、モンスターゾーンが全て埋まり、使用できなくなります。
このように、多くのデッキがこの盤面の突破に難攻することと思います。
つまり、盤面の有効度を高めること・有効度の高いデッキを選ぶことが、勝利への近道となります。
自分先行での、自分の妨害込み初動の安定性
基本的に、遊戯王は先行を握るプレイヤーが有利なTCGです。
※諸説あり ※筆者の感想です ※現時点で ※etc…
主な理由としては、後攻のプレイヤーは手札にあるカードのみで妨害をするしか無いからですね。
こういった理由から、公認・非公認大会などで好成績を残しているデッキには、「灰流うらら」「増殖するG」「無限泡影」等、自分が後攻となっても相手を手札から妨害出来るカードの採用率は非常に高くなっています。
採用率が高いということは、対戦相手が何らかの手札からの妨害カードを握っていることが当たり前と考えることが重要となります。
ですので、基本的にはカードで対策するのではなく、展開ルートを変更することで対応していくことになるでしょう。
展開ルートの変更や妨害に強いルートの開拓に加えて、画像のカードにある「ドロール&ロックバード」「灰流うらら」「墓穴の指名者」「抹殺の指名者」「三戦の才」等も手段としてあります。
ただし、これらは確実に手札に引き込むことが出来ない上に、純粋な展開からはノイズとなるカードですので、採用理由と枚数は熟考し腹落ちさせる必要があります。
自分先行での、妨害前提の妥協盤面の有効度(妥協盤面の強さ)
初動とは上記で触れたとおり、往々にして妨害され、想定盤面に届かないものです。
それでも勝つためには、最大限努力した「妥協盤面」についても事前に理解をしておき、この安定性もデッキ構築の時点で考慮しておく必要があります。
妥協盤面は私の造語ですが、想定盤面を目指すルートの分岐として、相手の妨害される前提で作り上げる盤面を指します。
「相手に妨害される」については様々な手札誘発が想定されるので、多くの分岐点と妥協盤面を用意しておくことが重要となります。
パターン1:ユニコーンにヴェーラー・無限泡影 等
「クシャトリラ・ユニコーン」のサーチした「六世壊他化自在天」の発動に対し「無限泡影」を打たれた場合、以下の状況となります。
- モンスターの効果発動後、EXデッキを見て1枚裏除外:ユニコーン
直接的な妨害ではありませんが、攻撃力2500のユニコーンを突破するためにモンスターの効果を発動すると、EXデッキのモンスターを除外します。
加えて、このモンスターを返しのターンで処理できないと、次のターンまたサーチされてしまいますので、必然的にユニコーンの処理の優先順位が高くなり、相手の本来の展開のルートを歪ませることが出来ます。
本来の先行盤面より非常に脆弱な構えとなりますが、それでも相手に対してある程度の妨害が成立しているといえます。
パターン2:ユニコーンにドロバ
「クシャトリラ・ユニコーン」の「六世壊他化自在天」のサーチに対し「ドロール&ロックバード」を打たれた場合、一例として画像の盤面となり、以下の状況となります。
- モンスターの効果発動後、EXデッキを見て1枚裏除外:ユニコーン
- モンスターの効果発動後、フィールドの表カードを1枚除外:フェンリル
先程の例よりフェンリルが増えた分、妨害の質と量が上がっています。
それでも脆弱な構えであることには変わりありませんが、相手の1枚の妨害で後攻リソース4+1枚に対し、こちらは1妨害+残りリソース4枚と、リソース勝負ではイーブンになっているといえます。
パターン3:三戦+オーガ+パーピヤスにうらら
「六世壊他化自在天」の発動に対し「灰流うらら」を打たれた場合、「三戦の才」の発動条件を満たしますので、以下の状況となります。
- 相手手札を見て1枚デッキに戻し(ピーピング+ハンデス):三戦の才
- 相手ドローの中から1枚選んで裏除外:オーガ
- 相手トラップ発動に対して手札見て1枚裏除外:プリペア
相手は、見られている残りの手札3枚+見られているデッキからのドロー1枚でオーガを処理しなければいけない状況となります。
特に三戦の才は、発動できればリソース勝負において非常に有利に立ち回れるので、オーガのようなドローするカードまで確認できるカードと組み合わせると、より以上の効力を発揮します。
以上から、妥協初動の安定性を高めることもまた、勝利の要因といえます。
終わりに
本稿は、先行での勝利に起因する要素を改めて言語化することで、デッキ構築やプレイングについて振り返るものでした。
今後も、「遊戯王の勝率について」シリーズでは、勝つための要素や考え方ついて取り上げていきたいと思いますので、引き続きご覧いただけましたら幸いです。
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