今回参加したYSCJ2023の物販について、Twitterを見る限りものすごく時間がかかっている、待ち時間が長い、などの意見が数多くありました。
なんでこんなに時間がかかったように感じたか、また、そもそもレジの処理能力は本来的に妥当であったか等々、今回はYCSJ2023の「物販」事情について書いていきます。
時間がかかったように感じる理由
chatGPTさんに、待ち時間が長く感じる理由を消費者行動論や心理学の見地から、多角的に列挙していただきました。
消費者行動論や心理学的な視点から物販の待ち時間が長く感じる理由を考えてみると、以下のような点が挙げられます:
1. 見通しの不確実性: 待ち行列の最後尾にいると、自分がいつまでに商品を購入できるのか見通しが立たず、結果的に待ち時間が長く感じられます。これは「見通し効果」(?)と呼ばれ、達成目標が明確に見える場合の方が、進行速度が遅くても辛抱強く待てるとされています。
2. 単調性と退屈さ: もし行列の待ち時間が長く、かつその間に行う活動が単調であれば、人は退屈感を感じやすくなります。退屈さは時間の経過を遅く感じさせ、待ち時間を長く感じさせます。
3. 時間価値: 人々は自分の時間に価値を持つため、待ち時間が無駄に感じられると、その時間が長く感じられます。これは「時間価値理論」に基づいています。
4. ストレスと不安: 初めて訪れる場所や、欲しい商品が手に入るか不確定な状況は、人間のストレスを増加させ、時間を長く感じさせます。これは「不確実性原理」に関連しています。
5. 社会的比較: 自分の周りに待っている他の人々と比較し、自分がどれだけ長く待っているのかを判断します。これは「社会的比較理論」に基づいています。
6. 期待と現実のギャップ: 自分が想像していた待ち時間と実際の待ち時間との間にギャップがあると、時間が長く感じられます。これは「期待不一致理論」に関連しています。 以上のような心理的、行動科学的な要素が絡み合うことで、物販の待ち時間は長く感じられることがあります。
なるほど、こういう見方だと、なんだか納得いかない!という理由になりえそうです。
例えばですが、30秒で考えたアイディアとして、「物販最終列はこちら」「ただいま◯◯時間待ち」等の立札、品切れまでの個数の表記、時間がかかることの事前の通知、等々、これらの努力があっても良かったのかなと思いました。
こんなの主催者側の従業員のお給料には1ミリも超短期的に反映されない話ですが、今回の事象が今後どのような影響を及ぼすかについて、ユーザ目線になって、ぜひ一考していただきたいなって思います。
レジ業務の問題
ぼくが物販の最前列で、レジ業務を見たものを図にまとめました。
時間の信ぴょう性ですが、実際にレジ前で、一人当たりどのくらい時間をかけてレジ業務をされているのかをストップウォッチで計測しました。
おおよその時間ですが、僕の事例を含めて、前に並んでいた3人の平均時間が約3分ちょっとでしたので、丸めて3分と仮置きし、各フローの所要時間をそれらしく当てはめています。
ちなみに、レジ業務に3分ってすごく長いです。
コンビニの有人レジにかかる時間は約1分、購入点数の多いスーパーでも2分ほどです。
ではなぜ3分”も”時間がかかるかというと、3.購入リストを基に”本人が”ピッキングをしているからなんですね。
この時間を丸々短縮できれば、コンビニやスーパー等のレジ待ち時間と大差ない待ち時間となります。
人員の投入量が増しますが、例えばピッキング専門の人をレジ2台につき1人配置すれば、60秒という時間を丸々短縮できます。
上記のように、1サイクルが120のフローに治すだけで、処理能力が1.5倍になります。
そのままの数値では人件費も1.5倍なので生産性はトントンですが、ピッカーが3レジ分賄えると生産性も上がります。
こんな単純なカラクリなのですが、現場責任者が、物販列の長大を黙認し、本来的な売上が失われている(チャンスロスを良しとしている)にも関わらず、処理能力を上げずに放置する構図は、売上の数値を求めていないと言えるので、この会社(委託先)大丈夫かな?と思いました。
そもそもレジ台数不足
そもそも、お客さん1人を3分で処理するレジが30台で足りていたのでしょうか?
※ 物販用に使われていたレジ台数が30台
1時間に1レジが処理出来る能力は、
60 / 3[分/人] = 20[人/時]
物販用レジは30台稼働しているから、1時間に処理出来る能力は、
30 * 20[人/時] = 600[人/時]
ぼくは真っ先に2敗して並び始めたYCSJ参加者でしたが、そのタイミングで並び得たYCSJ参加者は約1,000人です。
ぼくが並び始めたのが11時30分で、レジの会計が終わったタイミングが15時ちょうどくらいでした。
つまり、3.5時間物販の列に並んでいたことになります。
ここから、ぼくの前に並んでいた人数がわかります。
物販レジは1時間あたり600人処理できるので、
3.5[時] * 600[人/時] = 2,100[人]
(ぼくが物販の列に並び始めたのは比較的早い方だと思いますが、)仮に、ぼくより先に600人のYCSJ参加者が物販に並んでいたとしましょう。
2,100人から、先に並んでいたであろう600人のYCSJ参加者の人数を引くと、1,500人がYCSJ参加者とは別の参加者ということになります。
なるほど、非常に楽観的なシナリオで考えると、4,000人+1,500人の5,500人が、当日の物販に並び得る最大人数と言えそうです。
今回の物販は、前日に発売したばかりの新弾に加え、購入金額が一定以上になると貰えるキャンペーンや、そこでしか売っていない限定品もあり、多くの参加者にとって物販が魅力的に思えたとぼくは思います。
ですので、軍資金不足等の特異な理由で並び得なかった人が500人いると想定しても、約5,000人をさばき切るレジ処理能力が求められます。
5,000人を何時間でさばくかにもよりますが、開幕時間が11:00~18:00とあるので、遅くとも1時間前には終わるとして11:00~17:00を正味の物販時間と仮置きします。
つまり、6時間以内に、5,000人をさばき切るレジ処理能力が求められることが“事前に”わかっていたはずです。
ところが、物販用のレジが1時間に処理できる能力は600人と求まるため、3,600人しかさばけないことが“事前に”明らかです。
あれ、全然足りていませんね。
総括
今回のYCSJにおける「物販」ですが、不測の事態による遅延ではなく、十分想定できる範囲での不具合のように思いました。
イベントの規模から、運営上、必ず守らないといけない部分が多くあるものとは重々承知していますが、「各役割ごとにチームを組んで望まれているもの」とも想像ができます。
つまり、大きなイベントを部分部分の要素に分解し、良し悪しを「物販の運営が」という切り分けが出来るものと考えられます。
少なくともぼくは、「物販の運営が」なんだかイマイチで、大変疲れたイベントだったなって感想をいだきました。
このような事態が容認され、次回以降も同じような購買体験が予想できると、少なくともぼくは、「物販」に行こうという意欲、更には、イベントそのものに行く意欲が下がります。
また、不具合における現場の柔軟性についても一考の余地があるように思いました。
(例えば、大会進行に必要だった会場配置の人員を物販に回す等)
人員を増やすことで解決する問題は、運営上制限があるものと理解していますが、それでも最適な人員配置や現場での柔軟性については、ぜひ一考していただきたいなと思いました。
以上、YSCJでモヤッた内容の吐き出し終わりです。お付き合いいただきありがとうございました。